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【あめりかノート】ワシントン駐在編集特別委員・古森義久 資本主義のあり方も問う

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【あめりかノート】ワシントン駐在編集特別委員・古森義久 資本主義のあり方も問う
2012.6.6 03:26

 バラク・オバマ大統領は資本主義に反対するのか-。いま熱気を増す米国大統領選挙戦でこんな論題が大きく浮かびあがった。

 ラジオの政治トーク番組で全米最大の聴取者数を保つ保守派の論客ラッシュ・リムボウ氏が5月末から「オバマ氏は米国大統領選で資本主義反対のキャンペーンで勝とうとする初の候補だ」と繰り返すようになった。続いて共和党候補に指名されることが確実なミット・ロムニー氏も「オバマ氏が資本主義を攻撃していることは疑いない」と言明した。

 いずれもオバマ大統領をとにかく打倒しようとする共和党側の言だから割り引く必要はあるが、民主党傾斜のタイム誌までが「オバマ氏は資本主義への嫌悪を隠そうとしない」という論文を載せた。政治と経済のトレンドを研究するコロンビア大学のイアン・ブレマー教授の寄稿で、「大統領は資本主義を排除こそしないが、守ろうともしない」とも論じていた。

 こうした動きはオバマ大統領側が5月中旬にロムニー候補の資本主義的経歴に「吸血鬼」という激しい言葉までを交えて矢を放ったことへの明らかな反撃だった。オバマ陣営は本格的なネガティブ・キャンペーンの第1弾のテレビ広告でロムニー氏が運営して巨額の財を得た投資会社「ベイン・キャピタル」の1993年のカンザス州の鉄鋼会社買収に標的をしぼっていた。この会社は2001年に倒産し、750人が職を失ったが、同広告はベイン社が利益を得たことを元社員の言葉で「生血を吸い上げた」などと断じたのだ。

 もっともオバマ大統領には就任以来、資本主義システムを抑えるような政策や言動が多かった。破綻しそうな民間大企業への国家資金の投入、大企業経営陣への報酬抑制、高額所得者からの収奪による富の再配分、全米商工会議所への非難、ウォール街占拠者への支持など、計画経済や社会主義への傾きをにじませる動きである。

 資本主義とは言わずもがな、生産手段の私有制下で財の自由な供給と需要で価格が決まり、資本の自由な動きが利潤や価値を生む経済システムである。米国ではとくにアメリカン・ウエー・オブ・ライフ(米国的な生き方)という言葉に連結されるほどの基本的な価値観とされてきた。

 そのためからかオバマ陣営の投資会社攻撃キャンペーンに同じ民主党のビル・クリントン元大統領が反対を表明した。「他企業への投資が悪い行動だなどと批判すべきではない。ロムニー氏のビジネス経歴は立派だ」と述べたのだった。ニュージャージー州ニューアーク市の民主党黒人市長コリー・ブッカー氏もオバマ陣営への同様の反対を言明した。やはり資本主義自体への攻撃はまずいという配慮からだろう。

 オバマ陣営も公式には資本主義への反対は否定するが、このところ支持率でロムニー候補に肉薄されたことへの焦りを明らかにちらつかせている。とくに経済運営ではオバマ支持が39%、ロムニー支持51%という最新の世論調査結果は大きな暗雲だろう。

 いずれにせよ両候補の間に資本主義のあり方をめぐる思考の巨大な差があることは明白である。一に経済、二に経済と、失業や景気だけで判断されがちな米国大統領選も実は背後には深遠なイデオロギーの戦いが展開されているのだ。
http://sankei.jp.msn.com/world/news/120606/amr12060603260003-n1.htm



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